Beckhoff# 安全コントローラEK1960 – Part4:EL6910とFSOEカスタム接続を構築しよう

今回の記事ではTwinCATでEL6910(FSOEマスター)とEK1960(FSOEスレーブ)をFSOEカスタム接続する手順を解説します。

さ、FAを楽しもう。

Reference Link

Beckhoff# 安全コントローラEK1960 – Part01:TwinCATでの立ち上げと基本接続手順
Beckhoff# 安全コントローラEK1960-Part02:EDM設定と診断パルスの使い方
Beckhoff# 安全コントローラEK1960 – Part3:TE2000でアラーム・イベント・状態ログを可視化しよう
本記事では、Beckhoff TE2000のAlarm Logger・Event Logger・File Explorer機能を使って、安...

前書き

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Custom FSoE Connection? 

Custom FSoE Connectionは、EL69x0、EJ6910、KL6904、またはサードパーティ製デバイスに接続するために作成できます。 サードパーティ製デバイス専用のESIファイルが存在する場合、そのデバイスは選択可能な安全デバイスとしてリストされ、カスタムFSoEコネクションオプションは必要ありません。

Implementation

TwinCAT Runtime

最初にTwinCAT Runtime側を設置します。

プロジェクトにEL6910用のGVL(Global Variable List)を追加します。このGVLでは、EL6910(安全マスタ)とのデータ連携に必要な変数を定義し、PLCプログラムおよびTwinSAFE側のグループポートとの接続をスムーズに行えるようにします。

EL6910

次はEL6910側を設定します。

TwinCATプロジェクトに EL6910用の安全プロジェクト(pEL6910) を追加します。

EL6910の構成画面が表示されます。

Add FSOE Custom Connection

EL6910のプロジェクト構成内の「Alias Devices」フォルダに新しいエイリアスデバイス(Alias Device)を追加するために、「Alias Devices」を右クリック → Add → New Item… を選択します。

「Alias Devices」→「Add」→「New Item…」を選択すると、このようなエイリアスデバイステンプレートの一覧画面が開きます。ここで、左側のカテゴリ:「Safety」>「EtherCAT」>右側に表示される「Custom FSoE Connection」を選択し、下の「Name」を確認して「Add」ボタンを押します。

MasterFSOE.sds へ名前変更します。追加された FSoE Alias Device(カスタム接続)は、プロジェクト内の pEL6910 Project > TwinSafeGroup1 > Alias Devices フォルダに格納されます。このエイリアスは、もともとデフォルト名(例:Custom FSoE Connection_1.sds)で追加されますが、わかりやすさ・識別しやすさのために、「MasterFSOE.sds」 にリネームします。

先ほどのMasterFSOEをクリックし、FSoE接続の通信相手(スレーブ)との接続設定を行います。

Safe Address

次は接続するFSoE Slaveのアドレスを設定します。それは接続先のFSoEスレーブ(今回はEK1960)に割り当てられたアドレス番号なんです。

Connection Setup

今度はConnection設定画面に移動します。

Mode

ModeをFSoE Masterに設定します。

Type

ここはEL6910を使用しましたので、TypeをEL6910/EJ6910に設定してください。

Drop-listから他のタイプのデバイスにも設定可能です。

Message Size

Process Image Tabを開き、FSoE接続の入出力データサイズを設定します。

今回記事ではDefault 6Bytesに設定しましたが、アプリケーションによってサイズを変更することも可能です。

Error Ack Mapping

EL6910のSafety Groupリセット信号にもMappingしましょう。

Run Mapping

EL6910のRun 信号にもMapping忘れないでください。

Safety GVL

Safety GVLでは今回安全プログラムで使用する変数を追加します。

これは FSoEスレーブ(EK1960)の 最初の入力ビット に相当します

Safety Program

こちらはEL6910側の安全プログラムで、EK1960から受信した0Bit目の安全データをそのままEK1960に送信する簡単な通信確認プログラムになります。

EK1960 Side

次はEK1960側を設置します。

Add FSOE Custom Connection

先ほどと同じ操作でFSoE Custom 接続を追加し、Connection名をわかりやすくFSOESlaveに変更しましょう。

Safe Address

先程追加したFSOESlave接続を開き、Safe Addressを設定します。下図では10だと設定したので、EK1960がFSOESlaveとして稼働するとき、そのFSOE Custome ConnectionのSafe Addressが10になります。

Connection Setup

EK1960の接続設定を行います。

Mode

TwinCAT上でEK1960をFSOEスレーブとして設定します。

Type

SOEスレーブデバイス(EK1960)に対して「Type(タイプ)」を設定します。つまり、ここで設定しているのは「スレーブデバイスの種類」になります。

Safety GVL

GVLに安全変数を定義します。ofsSafetyOut1 は、FSoEスレーブデバイス(この場合EK1960)の 安全出力データの特定ビット(Byte0.Bit0) に対応する変数です。

これは TwinSAFE Group1 にある FSoEスレーブ(EK1960)の 最初の出力ビット に相当します

Safety Program

Network4に非常停止の信号を追加定義します。

そして非常停止の信号をFSOE Custome Connection経由でEL6910に返します。

Mapping-EL6910

EL6910と EK1960のFSOE 入出力データをMappingします。

Show Variablesを以下のように設定してください。

  • Exclude other Devices
  • Matching Types

そしてEK1960の出力とEL6910の入力と接続します。

Show Variablesを以下のように設定してください。

  • Exclude other Devices
  • Matching Types

そしてEK1960の入力とEL6910の出力と接続します。

Mapping-EK1960

最後はEK1960のFSOE 入出力データをMappingします。

Show Variablesを以下のように設定してください。

  • Exclude other Devices
  • Matching Types

そしてEK1960の入力とEL6910の出力と接続します。

Show Variablesを以下のように設定してください。

  • Exclude other Devices
  • Matching Types

そしてEK1960の出力とEL6910の入力と接続します。

結果

EL6910とEK1960両方にもエラーランプがついていません。

Show Online Data(オンラインデータの表示)ボタンを押すことで、FBやエイリアスデバイスの状態をリアルタイムで監視できます。それは安全プロジェクトが正しく動作しているかのデバッグ確認に使用します。

EK1960の非常停止が押されてないとき、FSOE Custome Connection経由でEL6910にTRUEを送信します。

EK1960の非常停止が押されたとき、FSOE Custome Connection経由でEL6910にFALSEを送信します。

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