DeltaMotionControl#Part06_ECATモジュールで安川電機Sigm-XとEtherCAT連携しよう

今回の記事ではDelta Motion社のRMC200とECATモジュールを使用しEtherCATで接続し、また、軸を制御するためのプログラム作成・Default Axis変数の使用について説明します。

さ、FAを楽しもう。


Reference Link

http://soup01.com/ja/category/deltamotioncontrol/

http://soup01.com/ja/category/yaskawa%e5%ae%89%e5%b7%9d%e9%9b%bb%e6%a9%9f/

DeltaMotionControl#Part05_ECATモジュールにエントリーを追加しよう
DeltaMotionControl#Part04_ECATモジュールを使ってみよう

前書き

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Delta Motion ECATモジュールx安川電機 Sigm-X

EtherCATドライブは一般的にRMC200との統合が容易で、CiA 402プロファイル準拠のドライブを推奨します。RMC200はCSP(位置)、CSV(速度)、CST(トルク)モードに対応しており、必要なPDO設定もプリセット済みです。

また、安川電機の場合は、

  • 内部ギア比設定に注意(誤設定で混乱の恐れ)
  • CSPモードでは、内部速度フィードフォワードを有効にするために専用のチューニング手順が必要です

Implementation

Sigm-X side

Sigm-X側のScaling設定は少しややこしいところがありますので、ここでもう一度説明します。まず例からみてみまみましょう。

一回転=6mm

  • ボールねじリード:6mm
  • エンコーダ:26bit = 67108864 カウント
  • Reference Unit = 0.001mm

変換流れ

  1. 1回転あたり6mm動く → 0.001mm単位では 6000 unit
  2. A = 67108864
  3. B = 6000
  4. ギア比考慮なし → Electronic Gear Ratio = 67108864 / 6000 × 1/64
  5. Position User Unit = Numerator / Denominator = 1048576 / 6000

下図の設定を先ほどの計算に合わせて設定しましょう。

一回転=10mm

  • 機械1回転 = 10 mm
  • ユーザー単位(Reference Unit)= 0.001 mm(=1μm)
  • → 1回転で進む距離 = 10 mm ÷ 0.001 mm = 10000 unit

これが 回転1回での移動距離 になります。

変換流れ

項目
A(エンコーダ)67108864(26 bit)
B(1回転 = 何unitか)10000
電子ギア比(B/A × 1/64)10000 / 67108864 × 1/64
Position User UnitNumerator = 1048576
Denominator = 10000

Delta Motion RMC200 Side

Add EtherCAT Module

まずはRMCプロジェクトにECATモジュールを追加してください。

Install ESI File

次はTools>EtherCAT ESI ManagerをクリックしEtherCAT ESI Fileをインストールしましょう。

Add Folderをクリックします。

各メーカーのHPからDownloadしたESI FileをImportしましょう。

Done!ESI FileがImportされました。

EtherCAT

次はRMCツールからEtherCATネットワークを構築します。

こちらはRMCツールのEtherCATネットワーク構築画面です。

Scan

下図のScanボタンをクリックし、ネットワークにあるEtherCATスレーブを検索します。

Done!今回記事で使用する安川電機のSigm-X Servoを検索できました。

PDO Mapping

次はアプリケーションに合わせて安川電機 Sigm-XのPDO Mappingを変更してください。今回の記事では現在速度・エラーコード・電流もPDO Mappingに追加しました。

Axis Definition

RMC200上で安川電機のSigm-Xを使用するには、Axis Definitionでリモート軸を追加してください。

Remote Axi追加

RMC ToolsからEtherCAT Servo 軸を追加するため、Axes>Axis Definitionsをクリックします。

こちらはRMC Toolsの軸設定画面です。Newをクリックし新しい軸を追加します。

Control ModeをRemoteにし、OutputとFirst FeedbackをECAT[Slot 2]に設定してください。

Virtual Axis

RMC200は仮想軸にも対応し、追加するにはNewボタンをクリックします。

軸の追加画面が表示され、Virtual Axisを選び、Next>で進みます。

Finishで仮想軸を追加します。

Done!

Parameters Configuration

今度は安川電機のSigm-X 軸パラメータを設定するために、Axis Toolsを開きます。

こちらはRMCツールの軸設定パラメータ画面です。

RMCツールの下にあるAll Tabを開きます。

RMCツールにすべての軸のすべてのパラメータを表示できるようになります。

Position Scale

最初に設定するのはPosition Scaleです。それはServoモータの移動量とエンコーダーの比例を設定する場所です。

Positon/Countsを選び、Next>で進みます。

今回はLinear Transducerを選び、Next>で進みます。

Desired Position unitsをmmに設定します。

次は安川電機のツールを使用し、二箇所の場所を移動します。そして1箇所ことに、”Use Current Value”ボタンをクリックし同時のCounts値を記録すれば、ツールが勝手に計算します。

Next>で進みます。

Finishで設定を完了します。

Input SubDevice

次はInput SubDeviceを設定します。

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoを設定してください。

Counts Index

Counts Indexを設定します。

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoに現在位置PDOを設定してください。

Absolute/Incremental

Servoのエンコーダタイプを設定します。今回記事で使用したのはIncrementになります。

Output Subdevice

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoにを設定してください。

Contro Word Index

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoにあるControl Word Index 0x6040を設定してください。

Status Word Index

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoにあるStatus Index 0x6041を設定してください。

Mode of Operation Index

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoにあるMode Operation Index 0x0600を設定してください。

Target Position Index

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoにある指令位置 Index 0x607Aを設定してください。

Position Error Index

Drop-ListからEtherCATと接続してる安川電機のServoに Index 0x60F4を設定してください。

Velocity Offset Scale

今回の記事ではOffset Scaleを使用しないので、下図のパラメータを必ず0にしてください。

Variable Table

RMC200でプログラムを作成するための変数を定義します。

Programming>Variable Tableを開きます。

今回の記事ではいくつかの変数を定義します。

  • EtherCATの状態をアクセスできる変数
  • 各Servoに送信するコマンド
  • コマンドを送信するときに必要なパラメータ群

RMCツールは配列の定義にも対応しています。また、配列の各Elementにも個別のコメントが可能です。

そしてDWORD変数を定義した場合は、該当する変数の32Bitを個別アクセス・コメント設定も可能です。

配列を定義するにはVariable Typeの画面からSizeの欄で配列の長さを設定すればOKです。

Program

今度はプログラムを作成します。

OB1

OB1は周期的に実行するプログラムで、EtherCATの状態を確認したり、軸のコマンドを受け取たりします。

Network0・Network1

Network0はLife Counterで、現在Taskが正常に動いてるときを確認できます。

Network1はEtherCATネットワークの状態を常に監視し、OKならdEtherCATを1に書き込みます。

Network2・Network3

Network2はServoONのコマンドを受け取ります。

もし軸1ならdiServoON=1で軸2ならdiServoON=2になります。

Network3はServoOFFのコマンドを受け取ります。

もし軸1ならdiServoOFF=1で軸2ならdiServoOFF=2になります。

この2つのレジスタは後ほどで活用する”Default Axis”で使用します。

Network4・Network5

Network4は相対位置決めのコマンドを受け取ります。

もし軸1ならdiServoMovRel=1で軸2ならdiServoMoveRel=2になります。

OB101

OB101はRMC200がRUNモードになったとき一回のみ実行するプログラムです。

p02ServoON

こちらは軸のServoONプログラムです。流れとしては、

  • Network0、Servo ONしたい軸番号を受け取り、Default Axis値を転送します。
  • Network1、もしEtherCAT状態OKならServoONします、NGなら直接Network3に飛びます。
  • Network2、ServONするコマンドを発行します。
  • Network3、ENDです。

p03ServoOFF

こちらは軸のServoOFFプログラムです。流れとしては、

  • Network0、Servo OFFしたい軸番号を受け取り、Default Axis値を転送します。
  • Network1、もしEtherCAT状態OKならServoOFFします、NGなら直接Network3に飛びます。
  • Network2、ServOFFするコマンドを発行します。
  • Network3、ENDです。

p04MotorRel

こちらは軸のServoの相対位置決めコマンドを発行するプログラムです。流れとしては、

  • Network0、移動したいしたい軸番号を受け取り、Default Axis値を転送します。
  • Network1、もしEtherCAT状態OKならパラメータを転送します、NGなら直接Network4に飛びます。
  • Network2、パラメータを転送するプログラムです。
  • Network3、相対位置決めのコマンドを発行します。
  • Network4、ENDです。

Program Trigger

最後はProgram Triggerを定義します。

  • OB101はFirst SCAN Triggerし、実行完了したらもう2度実行しません。
  • OB1はFirst SCAN Triggerし、そのあとずっとLoopします。
  • SERVO ON/SERVO OFF/ SERVO相対位置決めプログラムは変数の状態によって起動します。

Result

こちらの動画から動作を確認してください。

DeltaMotion.Playing with Yaskawa Servo Drive via EtherCAT

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