こちらの記事ではKeyenceのデータ活用ユニット – KV-XD02のコンセプトと基本設定を紹介します。少し長い記事ですが、始めよう!
What Is the Data Utilization Application?
Data Utilization Applicationは機器に組み込まれたデバイスの計測や、デバイスから収集したデータの監視・分析を行い、機器の安全な運用をサポートできるモジュールです。
- 機器のプロセスや接続機器の動作を監視する
- 経過時間、数値、グラフをWeb上でリアルタイムに表示する
- モニタリングにより、問題の症状やメンテナンス時期を事前に通知することができる。
- 監視対象ごとにしきい値を設定することができsる
- 閾値を超える/下回るたびに警告を発することができる
- 操作記録を保存し、イベントやエラーとして記録することができる
System Configuration
データ活用ユニットKV-XD02は、PLC機器の監視による機器の症状把握や、機器の異常状態の原因分析に活用でき、この情報は、KV-XD02 とイーサネットで接続されたデバイス(PC、タブレット、スマートフォン)で確認できます。また、PLCデバイスの監視、FTP経由でのファイル送受信、イーサネット経由でのメール送信も可能です。
Relationships between Applications
KV-XD02 は、CPU ユニットに保存された操作記録を解析する機能です。保存された操作記録を解析し、異常な動作を示すビットデバイスやBOOL型変数のデータを抽出してレポートを出力する機能です。
あらかじめ平常時のマスターデータを取得しておくことで、平常時の結果を把握することができ、それと比較することで差異を表示することができます。
さらに、レポートはKV STUDIOやPCなどのWebブラウザで閲覧可能で、この機能は、問題の原因分析、問題発生前の症状検知、ある装置のマスタデータとそれ以降の全装置の稼動記録を比較し、同機種インスタンス間の差異チェック、ある装置の稼動記録とそれ以降の全装置の稼動記録を比較した経年変化チェックなどの使い道があります。
また、機器設置時のマスタデータと、それ以降の全機器の稼動記録を比較分析することで、経年変化を確認することができます。
この機能はPLCデータをリアルタイムで監視し、ヒストグラムや統計グラフで症状を可視化します。閾値超過を検知した場合、注意・警告を発したページの状態を履歴データに保存し、操作記録やイベント・エラー履歴を保存することができる。
モニターアプリケーションの内容は、KV STUDIOウェブダッシュボードと標準的なウェブブラウザでモニターできます。
Device Assignment Overview
KV-XD02モジュールの使用デバイス一覧です。
Relay
こちらはRelayの使用範囲です。
DM
こちらはDMの使用範囲です。
Data Utilization Application
symptom monitorは、空気流量やシリンダー運転時間などの項目を継続的にモニターし、装置を構成する機器に影響を及ぼす症状についての洞察を提供するために使用することができる。それによって、エラーによる停止は、故障の前にエラーを検出し、機器の事前メンテナンスを行うことで防ぐことができます。
Cycle time monitor
装置各工程の稼動時間を監視し、異常の兆候や装置のボトルネックとなっている工程を特定し、タスク時間の短縮につなげます。
こちらの例だとサイクルタイムとは、挿入、加工、検査、排出の各装置工程の動作時間といった各装置の動作時間があります。サイクルタイムモニターは、専用ページでリアルタイムに監視できるだけではなく、設定したしきい値を超えた場合は警告を発することも可能です。
サイクルタイムモニターには2つの表示モードがあります:
- cycle display mode
- continuous display mode,
複数の工程を順番に行う装置と複数の工程を同時に行う装置との互換性を提供します。
Cycle display mode
Continuous display mode
Timing monitor
Timing Monitor 機能は2点間の時間を計測・監視。例えば、シリンダーなどの運転時間を監視することで、機器が故障する前に事前にメンテナンスを行うことができる。
Waveform upper and lower limit monitor
Waveform upper and lower limit monitorを使用するによって、流量などのアナログデータを収集し、設定した閾値を超えたかどうかを監視します。アナログデータの症状を監視することで、機器が故障する前の事前メンテナンスが可能。
Factor Analysis
Factor Analysisは、機器故障の原因を特定するために使用することができます。
異常検知と正常な状態からの動作記録を調査し、そのデータをマスターデータと呼ばれる状態のモデルとして、解析対象の動作記録と比較することで、異なる挙動を示すビットデバイスやBOOL型変数を検知し、レポート表示します。
通常の動作とは異なるため、これらのデバイスや変数は問題の原因である可能性が高く、この機能はレポートによって素早く特定することができる。
Web Dashboard (Web Server)
Webダッシュボード機能により、ユーザは標準Webブラウザに表示されるカスタムページからPLCデバイスの値および変数を標準ウェブブラウザに表示されるカスタムページから監視できます。
FTP server function
CPUユニットのメモリカードやメモリ、KV-XD02のメモリカードに保存されたファイルの読み書きが可能です。CPUユニットのデバイス値の読み込みも可能です。
FTP client function
CPUユニットのメモリカードやメモリ、KV-XD02のメモリカードに保存されている特定のファイルやフォルダ、およびCPUユニットの特定のデバイス値をFTPサーバにアップロードしたり、FTPサーバからダウンロードすることができます。
Mail transmission function
希望する時間にメールを送信するプログラムを作成することができます。
Implementation1
Configuration
KV StudioでKV-XD02をHardware Configurationに追加します。
Add Module
Unit Editorを開き、Select Unint>KV-XD02を選びHardware ConfigurationにDropします。
Done!KV-XD02が追加されました。
Setup Unit
次はKV-XD02の設定を行います。
Base-Leading Devices
こちらの項目ではKV-XD02の状態取得や制御を行うために必要なDMデバイスとRデバイスを振り分けます。
Port1/2 Setting
Port1/2は別々のネットワーク設定を変更できます。
IPアドレスなどをアプリケーションに合わせて設定してください。
Web server Used/Not Used
Web Server機能を有効にしてください。
Finish the Configuration
Configurationを保存するため、File>Closeします。
設定を保存するため、Yesをクリックします。
Done!
Ladder Program
今回は簡単なラダープログラムを作成し、KV-XD02でMonitorのアプリケーションを作成します。
こちらのデバイスを常時ONしKV-XD02のオペレーションを実行するようにします。
こちらは簡単なSTプログラムでDMやwデバイスの現在値を変更できるようにします。
Data Utilization application
基本的な設定とプログラムが完成したところで、次はKV-XD02の内部設定を行います。
Create New Data-set
Unit Configuration>KV-XD02>Data utilization applicationを右クリック>Create Newで新しいData Utilization Applicationを作成します。
Data utilization applicationの選択画面が表示されます。
今回はCycle time monitorのアプリケーションを作成します。
Cycle Time monitorの設定画面が変わります。
Application ID
Application IDはKeyence KV-XD02のFunction Blockを使用するに使います。
Application Name
次はApplication名を設定します。
Application nameの設定画面が表示されます。
各Comment欄は言語を切り替えるときに使用しますので、今回は英語と日本語の両方を設定します。
Web dashboard language
Web dashboard languageをクリックし、該当するアプリケーションを表示する言語を設定しましょう。
Web dashboard languageの設定画面が表示されます。
Comment2をDrop-listから日本語に設定します。
Done!
Monitor Setting
次はデバイスのMonitor設定を行います。
Specify Method-Start
Specify MethodのDrop-listでMonitorの方法を選択します。
今回はStartを設定します。つまりNo0はデバイスが一回目から二回目のON時間を計測することになります。
Item name
Item nameは該当する監視Itemの名前を設定します。
先と同じ操作で日本語・英語両方を設定しましょう。
Start Trigger
Start Triggerは該当する監視Itemをトリガーするデバイスを設定します。
Start triggerのDrop-listで監視のトリガーデバイスを設定できます(この項目で設定できるのはBool Typeのみ)。
今回はR300を設定します。
Done!
Specify Method-Start+End
Cycle time monitor のアプリケーションにもう1つの時間監視メソッドを追加します。
今回はStart+Endに設定します。つまりNo2はStartデバイスの動作設定から、Endデバイスの動作設定までの時間を計測します。
Start Trigger
Start TriggerをR301のDOWNに設定します。No1の計測開始条件はR301の立ち下げになります。
End Trigger
End TriggerはR302のUPに設定します。No1の計測開始条件はR302の立ち上げになります。
Caution/Warning
Cycle time監視の警告やアラームの設定はアプリケーションに合わせて設定しましょう。
Monitor Time
Monitor TimeはCycle time monitor がその設定時間を超えるとアラームが発生しますので、アプリケーションに合わせて設定してください。
Download
Cycle time monitor の設定が完成したら、CPUにConfigurationをDownloadしましょう。
Result
Done!Cycle time monitor 画面で先ほど設定した監視項目が表示できました!
こちらの動画からKV-XD02のCycle time monitor 機能を確認できます。
Keyence.Using KV-XD02 Module to display the data from Chrome
Implementation2
次はKV-XD02でマスターデータの作成方法を紹介します。
Training Master
出荷状態のKV-XD02ではMaster データが入っていませんので、NotificationではMasterデータなしのお知らせがきます。
Nofiication>No master dataのお知らせをクリックしてください。
KV-XD02のMasterデータ設定画面が表示されます。
Create New Data-set
新しいデータセットを作成するため、Master data settings>Create newをクリックします。
Set the cycle をクリックします。
こちらはCycle setting画面になります。
Add New Cycle
Add cycleで新しいCycleを追加します。
Cycle name
Cycle nameを設定します。
Specification Method/Start Trigger
該当するCycleの測定トリガーなどを設定します。
先程と同じく、2つのCycleを追加しました。最後はSaveボタンをクリックし設定を保存しましょう。
Done!
Start to Train!
Master data nameでデータ名を設定し、Startをクリックしましょう。
しばらく待ちます…
Done!
各Cycleの測定時間も表示されました。
それでMaster Dataの準備が完了しました。
Anaysis
Anaysisボタンをクリックし、Masterデータに沿ってKeyence CPUのデータを分析します。
Startします。
しばらく待ちます…
Done!
分析結果が表示されました。
Implementation3 -Web Dashboard
最後のExampleではKV-XD02の中にWeb Dahsboardを作成しましょう。ウェブブラウザなどからアクセスできるウェブダッシュボードは、PLCの情報を監視・操作するためのページです。
KV-XD02 の Web ダッシュボードには、以下のデバイスからアクセスできます。
- PC、タブレット、スマートフォンにインストールされているウェブブラウザ
- KV STUDIO
- VT5-WX
Create New Web dashboard Group
KV Studioを開き、Web dashboard>Create new>Groupします。
Web dashboard GroupのIDと名前を設定します。
Create new Web page
新しいGroupを右クリックし>Create new>PageでWeb Pageを追加します。
KV StudioからWeb dashboard editorが起動され、Page番号・Page名などを設定し、OKで進みます。
Done!
Create your own board!
ではWeb dashboardを作成しましょう。
Parts
Web dashboard editorの右にあるPartsをクリックします。
こちらはWeb dashboard editorで追加できる部品Listになります。
Lamp
ランプ部品を追加します。
ランプをダブルクリックし、該当する部品のSetting画面が表示されます。
Settings
Reference dataの設定項目ではLampのON/OFF色を切り替えるデバイスを設定します。
Style
Format Tabを開き、Style Drop-listからLampの形を変更できます。
正方形や丸などの設定もできます。
Done!
Fill Color
Fill Color項目でランプの色を設定できます。
Fix Text
次は文字表示の部品を追加します。
SettingのString項目で表示文字を変更します。
Done!
Switch
今度はスイッチ部品を追加します。
Setting画面を開き、スイッチの動作設定などを変更します。
Switch Function
Switch FunctionのDrop-listから該当するスイッチの動作を設定できます。例えばスイッチをクリックするとBitとWord値を変更したり、ページを変更したりすることができます。
Write Destination
Write Destinationで先程設定したSwitch Functionに選択した機能で、書き込みするデバイスを設定します。
Mode
今回のSwitch FunctionはBit setにしましたので、ModeではSet/Reset/Bit Inversion/Momentaryを設定可能です。
Add more Actions
もちろん一つのスイッチで複数の機能を設定することも可能で、Add Toボタンで新しい動作を追加しましょう。
アプリケーションに合わせて設定しましょう。
Format
Format>Textでスイッチの表示文字を追加します。
Operation
Operation Tabにある”Operation enable control”のRadio buttonがあり、該当するスイッチの動作を有効・無効することが可能です。
”Operation enable control”のRadio buttonをTrueにすると、スイッチ動作の無効・有効に設定するデバイスやモードを変更できます。
Time series
次は時系列Chartを追加します。
Done!
Add Extend data processing
Setting>Extended data processingのDrop-listで新しい表示データセットを追加しましょう。
KV Studio側にTime series Data collectionの設定画面が表示されます。
Select Unit
Select UnitのDrop-Down-listからMonitorしたいデバイスに属するモジュールを設定します。今回はKV8000を設定します。
Devic/VariableでMonitorしたいデバイス番号とデータ・タイプを設定しましょう。
Result
こちらのデータセットではDM0-DM7まで8個のデータをMonitorします。
Select Data
時系列Chartの設定画面に戻って、先程追加したデータセットを選びましょう。
Done!
Add Data Comments
Data Commentsを追加し、データセットにあるデバイスにわかりやすい名前を設定しましょう。
先程のTime series data collectionの設定画面にCommentsの項目があり、該当するデバイスの表示名前を設定できます。
Web dashboardにある言語を設定しましょう。
Done!
下図のように各デバイスにもCommentが表示されます。
Collection Cycle
Collection Cycleで該当するデバイスの収集周期を設定できます。
Result
Done!
Horizontal Axis
Horizontal AxisのTabでX軸の表示設定を変更できます。
Vectrical Axis
Vectrical AxisのTabでX軸の設定を変更できます。
Lower Limt/Higher Limit
“Display range Lower limit”と”Display range Upper limit”の項目X軸の上下限を設定します。
Auxiliary Line
時系列ChartをわかりやすいようにAuxiliary Lineを追加します。
Done!
Display
Display Tabで該当する部品の表示・非表示を制御するデバイスを設定します。
Specifcation methodはBOOL Typeだけではなく、Numericの設定でも可能です。
Add new Page
KV Studioから新しいWeb Pageを追加します。
Add Page Change Button
スイッチを追加し、Switch Functionに”Page Change”に変更します。
Add Lamp Switch
Lamp Switch部品を追加します。こちらの部品ではスイッチ・ランプの機能を持つ部品になります。
Lamp/Write Settings
Lampとスイッチ機能をアプリケーションに合わせて設定します。
Finally
こちらはWeb dashboardの1ページ目です。
こちらはWeb dashboardの2ページ目です。
こちらのLinkでKV-XD02とPhoenix ContactのWP6000 Web Panelの連携動画を確認できます。
Implementation4-FTP Server
最後はKV-XD02のFTP Server設定を紹介します。
Setup unit
KV Studioを開き、KV-XD02の設定を変更します。
Port1/2 FTP Server
KV-XD02の項目にある”FTP server”をUsedに設定します。
Password
Password欄でFTP ServerにアクセスするためにあるPasswordを設定します。
Done!
Result
KV-XD02 FTP ServerのUser nameはKVで、Passwordを入力し接続しましょう。
Passwordを入力します。
Done!
KV-XD02ではCPU本体のデータもアクセスできます。
先程設定したCycle Monitoring項目、いま時間測定しています。
/U0_CARD/KUA_004TREND/で測定したデータが保存されています。
また、FTP ServerにあるStatus_RUNのFileがあり、現在KV-XD02の状態はRUNだと示します。