Inovance# Easy PLC第6話:Gear_INで2軸をマスター・スレーブ同期してみよう

本記事では、Inovance Easy PLC環境において、MC_GearIn Function Block を活用し、2軸をマスター・スレーブ構成で同期させる方法を紹介します。モーターの回転にもう一軸を追従させる動作は、生産設備や搬送装置などで広く使われる重要な技術です。

さ、FAを楽しもう!

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http://soup01.com/ja/category/inovance/

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MC_GearIn

MC_GearIn は、マスター軸とスレーブ軸を電子的に歯車(ギア)連結するための命令です。ギア比(分子/分母)を指定することで、スレーブ軸がマスター軸の動きに追従するようになります。

VAR_INPUT

項目名意味データ型補足
Masterマスター軸_sMCAXIS_INFO など必須
Slaveスレーブ軸_sMCAXIS_INFO必須
RatioNumeratorギア比の分子DINT例:1
RatioDenominatorギア比の分母DINT例:1
ReferenceType同期基準位置の選択INT(0〜2)0=前サイクル, 1=当サイクル, 2=フィードバック※1を選ぶと軸番号制限あり(Master < Slave)
Acceleration / Deceleration加減速REAL0指定で即同期(遷移なし)
CurveType曲線種別BOOL0=標準直線, 1=T字曲線
Execute実行信号BOOL立ち上がりで同期開始

VAR_OUTPUT

出力名内容
InGear同期完了(ギアが噛み合った状態)
Busy同期中または追従準備中
CommandAborted実行中にキャンセルされた
Errorエラー発生
ErrorIDエラーコード

同期動作のフェーズ

MC_GearInは同期動作できるまでいくつかのフェーズがあります。

Catching phase(追従中)

こちらはスレーブ軸が加減速して、マスター軸と速度を合わせに行きます。

InGear phase(同期中)

こちらはギア比に基づいて完全に同期し続けるフェーズになります。そしてスレーブの移動量は、下記になります。

スレーブの移動量 = マスターの移動量 ×(分子 ÷ 分母)

逆回転も可能

ギア比を 負の値 にすると、スレーブ軸はマスター軸と逆方向に回転します!

例:RatioNumerator = -1, RatioDenominator = 1 → 逆回転同期!

同期完了前のスレーブ軸挙動

同期(InGear)に到達する前、スレーブ軸は設定された加速度/減速度に従って加減速運動を行い、スレーブ軸の速度が「マスター軸の速度 × ギア比」に達したとき、ギアがかみ合った状態(InGear)とみなされ、完全にマスター軸の変化に追従するようになります。

【ケース1】マスター軸が一定速度で運転中の場合

スレーブ軸は、あらかじめ設定された加速度/減速度でマスターの速度に追いつき、同期完了後(InGear出力ON)、マスターの速度が変化した場合でも、スレーブはそのまま追従を維持します。

このフェーズを「Catching phase(追従中)→ InGear phase(同期中)」になります。

【ケース2】マスター軸が同期前に加減速を行う場合

スレーブ軸は、同期指令発行以降のマスターの速度変化をそのままリアルタイムで追いかけます(1:1ギア比想定)。これは「事前にマスター軸が一定速度ではない」場合の同期で、

スレーブは常にギア比に従って追従状態を維持します。

注意

Busy中に再実行すると再同期が発生(歯車再連結)し、また複数のGearIn指令を同時に発行すると最初の指令が中断され、後の指令で再同期されます。

Implementation

Add Sub ST Program

AutoShopにSTプログラムを追加するにはProgramming>Program Block>右クリック>Insert Subprogramします。

Sub プログラムの追加画面が表示されます。

LanguageをSTに設定してください。

そしてSubプログラム名を入力し、OKでプログラムを作成しましょう。

Done!ST Subプログラムが追加されました。

Add Gear-IN

Gear-IN関数を追加するにはInstruction Set> MC_GearINから可能です。

STプログラムにプログラム追加したい場所を選び>Gear_INをクリックしプログラムを追加しましょう。

Done!AutoShopはTempate付きの形で関数が追加されまうs。

AutoShop直接にEditorに変数を追加することも可能で、右クリック>Auto Variable Definitionします。

変数の定義画面が表示され、変数名やデータ・タイプを設定しましょう。

先程と同じ操作でMC_GearOut関数を追加します。

Done!

Call Sub Program From MAIN

次は先程追加したSubプログラムをMAINプログラムから呼び出しましょう。ToolboxからCALL関数をラダー回路に追加します。

Call SubProgramのWindowsが表示されます。

Drop-listから先作成したSubプログラムを設定します。

最後はOKボタンで設定を保存します。

Done!最後はA設定に常時ONや条件を追加しましょう。

ダウンロード

最後はPLC>DownloadでプロジェクトをCPUにDownloadしましょう。

OKで進みます。

OKでCPUをストップします。

そしてDownloadが終わったら、またOKをクリックしCPUをRUNにしましょう。

Result

xGearInExeをTRUEにし、2軸の同期を開始します。また、変数をMonitior Windowsに追加したい場合は、右クリック>Add to monitoring tableします。

Done!

では実際xGearInExeをTRUEにします。

Done!2軸が同期動作になりました。

こちらの動画で動作確認できます。

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